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住人十色 8

彫金家、分譲マンションにてアトリエ

須藤氏

ファミリー向けとおぼしき分譲マンションの1階の一室に入ると、仕切りも天井もない空間が広がっていた。その部屋の真ん中に、四方を壁で囲まれた小部屋がある。何とも奇妙な間取りだ。

分譲マンションでは住人によって改装ができるが、改装された部屋が、そののちに賃貸物件として出回ることもあるという。まったくファミリー向けでなくなったこの部屋に住み着いたのは、金属工芸を手がける須藤拓さん(24)。「まちなかなのに静かな部屋で、音が漏れない」と喜ぶ。

金属工芸は、鍛金などの工程で音が出る。作業が深夜に及ぶこともある。以前住んでいたワンルームマンションでは「隣の台所の音が聞こえるほど」で、制作ができる状態ではなかった。だが、分譲マンションの構造は壁が厚く音が響きにくい。

現在では、たんすの引き戸など小さなものなら制作できるようになった。壁に囲まれた広さ3畳の小部屋は、ベットが造りつけられた仮眠室だった。唯一の開き窓は板戸との二重構造で、上部には換気口までつけられている念の入れようだ。「締め切ると真っ暗になるので、昼間でも仮眠がしやすい」。まるでアーティストのために用意された部屋のようだ。

須藤さんは京都伝統工芸専門校(園部町)を卒業後、江戸時代から続く中京区の錺匠のもとで修行。現在は、母校で助手を務める傍ら制作にいそしむ。制作一本に打ち込むのなら田舎の一軒家で、というのも手だが「市内だと、客とのつながりもできやすい」と須藤さんはいう。

「京都は、ものづくりをしている人への評価が高い。お客さんの顔の見える関係で、長く使うほどに味が出る一点ものをつくっていきたい」と夢を語り、学校時代の同期生らと手工芸の良さをアピールする合同展を今夏も企画している。

ほぼワンルームに改装されたマンションの一室。金属工芸家・須藤拓さんの居宅。
小窓が開く「部屋の中の部屋」。ワンルームの真ん中にある3畳の小部屋。寝室として利用している。
火であぶり、なまった(やわらかくなった)金属をたたき、やすりでけずる。
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