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住人十色 1

元社宅を改装してプログラムスペース

アートディレクション・グループ ”MUZZ”

住宅街の中に現れた、真っ白でただっ広いスペース。4人の若者が、まちなかに自分たちの「基地」を作った。

のべ約360平方メートルもある鉄筋3階建ての建物は、元ホームセンター兼社員寮だったという。京都精華大美術学部出身の吉岡康介さん(26)高橋耕平さん(26)池田和正さん(25)出口尚宏さん(25)の4人「MUZZ」は、この建物一棟をまるごと借り、1年3カ月かがりで全面改装した。「卒業後も集まれる場所があればと、もともと話し合っていた」と吉岡さんは話す。

大学を出た途端、仲間で自由に集まれる場所は失われる。場所を確保するにはお金が必要だ。このため芸術系大学の卒業生に取っては、作品制作の場所すらままならない。こんな「場所のない社会」をどう突破するかに知恵が傾けられたのだ。

「ギャラリーなのか、店なのか、いろいろ案があった」(吉岡さん)というが、空き物件の再活用を手がける不動産業者「ルームマーケット」を通じて紹介されたこの建物を見て、プランがまとまった。寮として作られていた2・3階部分の12部屋を個室として貸し出し、そのレンタル料を建物全体の運営費にあてる。そうして1階の元店舗部分をいつでも自由に使えるスペースとして確保するというものだ。

一昨年の春から、4人は改修作業にいそしんだ。ついに昨年10月作家を招いてのオープン展を開催。6千本の鉛筆を床に直接、等間隔に貼り付けた作品など、通常のギャラリーでは考えられない凝った展示は、スケジュールにとらわれないスペースだからこそ可能となった。自由な発想による場所の持ち方を見て、現役学生は勇気づけられたという。

生活の必要に追われる日々に対する「そうじゃなかった自分たち」を、この場所を通じて提示したいと、4人は意気込む。まちのなかの空間それ自体が、従来とは違う価値を模索する手段や表現として生まれ変わった。

既存の建物を転用して、アートに、ものづくりに、交流の場にと知恵を働かせて活用する人たちが増えている。京都で建築物を「再生」する人たちを紹介する。

ギャラリーにもなる1階のスペース。 オープン展も好評のうちに終え「次はどうしようかな」と考える「MUZZ」の4人。この場所には、かつて陳列棚が並び商品が所狭しと置かれていたが、今となっては当時の面影はどこにもない。
建物は、元ホームセンター兼従業員寮だった。
2階の共有スペースでは、個室利用者が雑貨市を開いた。
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